「外食」を心ゆくまで楽しめなかった自分。

オーナーの明石です。僕は人並み以上に化学物質に弱いようです。

食べ物に含まれている保存料や化学調味料などを摂取すると、皮膚が炎症をおこしたり、寝れないほど痒くなったり、冷や汗が出て気分が悪くなったりします。
これをアトピーやアレルギー反応と表現するそうですが、僕はこれを、本来人間が持っている「排泄機能」だと理解しています。

こんなカラダなので、「外食」を心ゆくまで楽しんだことは、数えるほどしかありません。
大変失礼ながら、運ばれた料理を見て、「美味しそう!」と思う前に、「大丈夫かな」という気持ちのほうが先行してしまいます。

スーパーで買えるものは限られています。商品を手にしてまず見るところは、裏面に書いてある原材料名です。多くの商品は馴染みのないカタカナの物質が入っています。コンビニであれば、水と発泡酒しか買うものがありません。

そのような食の産業を、いつも疑問に思いながら過ごしてきました。

食の産業、農業への疑問。

農業にも疑問を持っていますが、食品加工物に比べると選択肢が広いと思います。今は、農薬と化学肥料を使わずに栽培をしている生産者から、野菜や果物を直接送ってもらうことができます。究極的には自然栽培の農作物を食べたいのですが、コストを考えると有機栽培あたりが現実的です。本当は、「どんな有機肥料を使っているのか」まで追求したいのですが、キリがありません。

最近では、抗生物質などを投与せずに健康な環境で育った家畜の肉も、ネットなどを通じて買うことができます。

こんな調子ですから、我が家のエンゲル係数は非常に高いです!

戦後の日本の食を支えてきたのは、間違いなく、農薬と化学肥料を使った農業だと思っています。日本人の飢えを救ったという意味では大変素晴らしい技術ですし、国策として展開してきたことは仕方なかったと思います。しかし、人体への影響をあえて言わなかったのは罪です。

今はどうでしょう。差し迫った日本の危機!ではなく、経済優先の世の中において、生産効率を上げるために、早く、安く、安定的な生産が良しとされてきました。

知っている方は知っている事実ですが、そもそも農薬や化学肥料を使わないと上手に育てられないようにプログラムされた種(いわゆるF1種)が存在します。仕事として農業分野に関わったこともありますが、踏み入れることのできなかった世界です…。正直、あまり突っ込んで詮索したくないです。

「健康<経済」という世の中でいいのか?

何が言いたいのかと申しますと、多かれ少なかれ、人の健康よりも経済のほうが大事な世の中になったということです。

「健康、安全」をキャッチフレーズにしながら、化学物質に頼って賞味期限を伸ばし、より遠くの消費者を囲い込もうとしている企業は沢山あります。本当は体に良くないって、知っているはずです。

「安心安全のため、顔の見える農業を」というような曖昧な言い方で、生産者の顔写真と名前を貼っている直売所が沢山ありますが、「化学肥料を使っています」ということをあえて書いていませんよね。

でも、もっとも罪なのは、我々消費者かもしれません。
カタカナの原材料名がずらりと並んだ食品を「美味しい」という理由で買ってしまう人々。確かに、すぐに体に影響がなければ、害だとは思わないのが当然です。長きにわたって体に蓄積されたものが病気の原因だとしても、その因果関係を証明できる人はいません。

ちなみに僕は、自分の体質を不幸だとは思いません。体に悪いものがすぐわかるので、逆に助かっています。某食品メーカーのスナック菓子に「保存料・化学調味料不使用」と書いてありましたが、バッチリ反応が出ました。添加しないのは確かかもしれませんが、原材料の穀物や植物油に入っていると思われます。

uchikawa六角堂をオーガニックカフェにした理由。

uchikawa六角堂で使っている食材へのこだわりは、以上のような体験や思いから出発しています。きっと、僕のようなに食べ物にいちいち気をつけないといけない人は、少なくないはずです。

この店が出来て、一番喜んでいるのは、実は僕自身かもしれません。間違いなく、六角堂のサンドウィッチとコーヒーを一番沢山食べているのは僕です。もちろん、お客としてお金を払ってです。「ん、この食材おかしいな…」と思ったら、まず僕が反応するはずです。

特にコーヒー豆については、2年間飲み続けて大丈夫だと思った豆を使っています。
コーヒー豆をご提供いただいている富山市にあるエコーレさんは、わざわざ産地を訪れるこだわりようです。「オーガニック」と書かれていなくても、間違いなく農薬も化学肥料も使っていない、という豆があるそうです。(実際のところは、それらを買うお金もないという言い方が正しいとのこと)僕のリトマス試験紙並の反応と同様、ご自身の目で確かめて仕入れて、しかも自家焙煎しているエコーレさんを信頼しています。

テーブルに運ばれた料理を疑いもなく、安心して食べる…、よく考えたら当然そうあるべきなのですが、その当然のことが嬉しいのです。

食への安心も、スタッフも、雰囲気も。

uchikawa六角堂のメニューは、できる限り化学物質を排除するように努力していますが、まだまだ100%自信を持って提供できていません。でも、努力をし続けます。そしていつの日か「すべてのメニューが保存料・化学調味料無添加、オーガニックです」と言えるようにします。

原材料の価格という問題もあります。今、無理をして完全にオーガニックの食材を揃えると、例えば「六角堂ルーベンサンド」は1,400円くらいになるのではないでしょうか。

究極のところは、「六角堂農園」と「六角堂加工所」をつくって、自然栽培と自家製造をしてみたいと考えています。ただ、乳製品だけはハードルが高いです。ニュージーランドに行き、ファームステイしながら有機農法の放牧を勉強してきましたが、日本で同じことをするのは土地利用上の問題で難しいと感じました。北海道などの一部の牧場では、オーガニックの牛乳や乳製品をつくっていますが、現在は、残念ながら手に入りません。

長くなりましたが、僕の思いは「食の安全」が当たり前の世の中になりますように、です。

uchikawa六角堂は、足を運ぶたびに、食への安心も、スタッフも、雰囲気もどんどん良くなっていく店にしたいと思っております。お客様には、長い長い目で、お付き合いをしていただければ、幸せです。

ご提案、ご要望、お気づきの点などございましたら、お気軽にスタッフまでお申し付けください。

これからも、uchikawa六角堂を宜しくお願いします。